コバノミツバツツジについて

 

主催:京都宝の森をつくる会

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京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 森林計画学研究室
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里山の春を告げる、コバノミツバツツジ

 コバノミツバツツジは、本州中部以西から九州までに分布する低木です。ちょっと長い名前なので、私達は「コバミツ」と略して呼ぶこともあります。
 宝が池の森では、尾根や林縁などの明るい場所に自生しており、里山として利用されていたころは、火付けのための柴材として利用されていました。
 当時の森は、木は伐って使われ、落ち葉は肥料として使われていたため、明るく貧栄養な環境でした。そうした環境が好きなコバノミツバツツジは、アカマツと並んで、宝が池の森を代表する樹木でした。
 今も、早春にはコバノミツバツツジが一斉に咲きほこります。山を濃いピンク色に染め上げて、里山だった宝が池の森の春を、私たちに教えてくれています。

ピンク色に染まる、春の宝が池の森。

コバノミツバツツジの花

■宝が池の森を彩るツツジ

宝が池の森では、コバノミツバツツジをはじめとして、モチツツジやミヤコツツジ、ヤマツツジなど様々なツツジ類を見ることができます。春の時期には、コバノミツバツツジを皮切りに、季節が進むごとに順々に色々なツツジを楽しむことができます。
 
コバノミツバツツジが咲く時期は、サクラも一緒に楽しむことができ、山は華やかなピンク色に染まります。宝が池の周りの林縁は明るいため、コバノミツバツツジが育つにはとても良い環境です。
いこいの森の側のコナラ林。コナラの木の下には、たくさんのコバノミツバツツジを見ることができました。
 
森の中の遊歩道を歩いてもたくさんのコバノミツバツツジを見ることができます。
法の字の尾根で見ることのできる、コバミツのトンネル。両側から覆いかぶさるように育ったコバミツが、トンネル状になっています。
   

■コバノミツバツツジの現状

コバノミツバツツジは光を好むので、うっそうとした森では美しく咲きません。今から30年ほど前に、森を明るくする伐採施業が行われ、宝が池公園ではたくさんのきれいなコバノミツバツツジの花が見られるようになりました。

 しかしその後、松枯れが到来してしまったため、森の手入れに手が回らなくなってしまい、コバノミツバツツジは減少していきました。 ここ数年、ナラ枯れの到来によって、高木が倒れ、森の中に明るい場所ができたことで、一時はコバノミツバツツジの花もとても多くなりましたが、今は、増えすぎたシカの食圧によって、コバノミツバツツジはこれまでにないほどのダメージを受けています。


  
上で紹介した、コバノミツバツツジのトンネル(2017年4月14日)です。花数が著しく減少していることがわかります。
五山の送り火「法」の火床です。写真手前の低木層が食べつくされてしまい、葉がないことがわかります。
 
森の中のコバノミツバツツジです。根元からいくつも伸びた枝は、シカによって葉っぱが食べつくされてしまい、枯死してしまっています。
シカが食べられる草木は、食べつくされてしまって、森の中の林床には、全く低木層がありません。コバノミツバツツジはおろか、次世代を担う小さな芽もなくなってしまうので、森自体が存続の危機となっています。